1929年のPirastroのカタログから

Pirastro は弦楽器の演奏家、製作者なら誰でも知っている老舗弦メーカーですが、こうした弦メーカーのカタログから、いつの時代にどのような弦が使われていたのかということを伺い知ることができます。

今回紹介するガット弦エキスパートDanielaの動画では、1929年のピラストロのカタログの紹介をしています。

1929年は、 イギリスでウィリアム・ウォルトンがヴィオラ協奏曲を書き、ヴィオラ奏者ヒンデミットによって初演された年としても知られるということを自身がヴィオラ奏者であるDaniela が紹介しています。

その前後を見るとシベリウスのヴァイオリン協奏曲の初演からは25年ほどが経っている時点であり、またアルバン・ベルグのヴァイオリン協奏曲からは6年ほど前、プロコフィエフのヴァイオリン協奏曲第1番と第2番の書かれる間の期間と見ることもできます。カサドの有名な無伴奏チェロ組曲の出版からは3年ほどの時点です。その他にもその時代前後の音楽はいくつも挙げられます。

さて、この年のカタログから読み取れるのは、まずヴァイオリンの弦と、ヴィオラの第3、4弦がチューブ入りの真っ直ぐな状態で売られていたのに対し、ヴィラオの第1、2弦とチェロのすべての弦は封筒に入れられて売られていたということです。このことからヴァイオリン弦やヴィオラの第3、4弦の方がその他の弦に比べて硬かったのかもしれません。

また、これはお店向けのカタログではありますが、弦は100本から(al cento)の注文となっており(一般的なことでした)、これは当時の弦が切れやすく、弦の消費が多かったためではないかと推察されます。

また、それぞれの楽器ごとに「赤」、「黒」、「黄」ラベルの弦が用意されていたこともカタログから伺えます。

【赤】ラベル

ヴァイオリンのは、第1、2、3弦が裸ガット弦で、第4弦のみ純銀の巻線か、銅の巻線を選べるようになっています。

ヴィオラは、第1、2弦が裸ガットで、第3、4弦が銀もしくは銅の巻線を選べます。

チェロはヴィオラと同じ構成です。

【黒】ラベル

ヴァイオリンの第3弦が、裸ガットかアルミ巻を選べるようになっています。

ヴィオラ、チェロも同様です。

コントラバスは第1~3弦は裸ガット弦で、第4、5弦は銀-銅巻線が提供されています。

動画の中で説明されているのは以上ですが、これらの弦が当時の演奏に用いられており、作曲家たちもこうした弦を念頭に曲を作っていたことを考えるのは楽しいものです。