現代においてガット弦の材料として知られるものは主にSheep(雌羊)とlamb(子羊)、そしてOx(去勢された雄牛)のガット(腸)ですが、これらはもちろん弦を作るためにガットを採ったわけではなく、人々の生活の中で、食料を得た結果として、残った部分を余すところなく用いた結果でした。
さて、このガット弦の素材ですが、歴史的には実際には上記以外にもさまざまな材料が使われていたようです。すべて人々の生活の中から出てきたものです。
ガット弦エキスパートのDanielaによると、Sheep(雌羊)とlamb(子羊)の他にも、mouton(雄羊)やgoat(山羊)、そして時にはpig(豚)やhorse(馬)も使われたそうです。意外なことにcow(雌牛)は使われていなかったようで、それはどのように取り扱えば良いか分からなかったからとのことです。
現代はほとんど耳にすることのない、豚や馬のガットについては、非常に太いガットが作れたので、日用の様々な用途に広範に使われていたようで、基本的には楽器弦のためではなかったようです。
しかし、通常は楽器には用いられないこれらの太い弦も、場合のよってはコントラバスの弦には使われていた(!)ことがあるということです。
歴史的にcow が使われておらず、現代においてox が使われている経緯については、一度Danielaに尋ねてみたいと思います。
追記 : Daniela の今回の投稿情報は、Salleの古い弦職人Roberto Salerni へのインタビューと、 1823年にヴェネッィアで出版されたLabarraqueの“Nuovo dizionario universale tecnologico delle arti e dei mestieri…”、“Minugiaio”、に基づくとのことです。
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