主に弦楽器個人製作家の方々への予告の予告です。
オランダにいるD.バディアロフさんと相談し、楽器製図に関するレクチャーを日本国内で、今年の秋頃にも開催してもらえないかという話を始めています。
ここで言う楽器製図とは、ポスターや写真から形を写し取って作ったり、近代的な機械製図によらず、昔ながらのプロポーションをとる方法で、楽器を製図する方法です。
もし実現すれば、そもそもプロポーションとは何かということ、またその製図ために必要な道具、描き方、古文献などについて説明してくださると思います。
私がこれまで投じた費用と、スペインに行った費用に比べれば、はるかに受けやすくなると思いますが、講習会自体は安売りはされないと思いますので、興味のある方は是非今から貯金をしてみてください。
製図と言っても実践的な内容なので、受講の前提として、木工技術が必須となります。
現代でもほとんどの製作者はそもそもなぜ弦楽器がかつて今あるプロポーションで作られたか知らずに作っています。そのため、プロポーションをなるべく残すようにするために実寸大ポスターを切り取って型を作ったりしていますが、昔の人にはそのようなことは必要ありませんでしたし、できませんでした。
またコピーではなく、オリジナルとして作られた楽器が、製作者の名前を冠して唯一無二のものとして価値を持ち続けるのはご存知の通りです。
プロポーションによる製図を知るとますます楽器が好きになります。これは私自身の体験です。
昔の名器をモデルに作る場合でさえ、プロポーションをチェックできるようになります。一生使える内容であり、弦楽器を作る人は知っておくべき内容だと感じています。
楽器をプロポーションで描く方法はイタリアでさえも完全に失われてしまっていたので、まだヨーロッパでさえ知る人はごくわずかです。
まだ講習会が実現するかは分かりませんが、もし実現したら、コピーではない楽器製作を日本から復興させるような流れが皆さんとつくれたらいいなと思っています。ヨーロッパでもまだまだこれからなので、たまには日本人が引っ張ってもいいのではないかと思います。
プロポーションは、楽器が「鳴る」ことを目的としたものなので、作る前からそのことを意識して作っていけるのも大きな魅力です。また肩掛けチェロのように失われた楽器でさえも元の形を見出すことができる場合があります。
製作者の自己満足ではなく、最終的に演奏家の方々にその成果としての楽器をお渡しできることが、何より楽しいことです。もちろんヴィオール族や、ギターなどにも使えますし、文献にも残っています。
すでに直接声をかけていただいている方もいますが、興味のある方は、ご一報いただければまた話が進み次第お知らせさせていただきます。