D’Addario(ダダリオ)社について

ガット弦エキスパートのDaniela の動画で、アメリカの楽器アクセサリーメーカーとして有名なブランドでもあるD’Addario(ダダリオ)社について話しています。

D’Addario という名前は、これまでもたびたび出てきた現代弦メーカーの発祥地とも言えるイタリア・アブルッツォ州ペスカーラ県にある小さな町Salle (サレ)から来る名字なのですが、実に現在のSalle の市長さんの名字もD’Addarioだということです。

弦メーカーとしてのD’Addario 一家はアメリカンドリームを追い求めて渡米し、最初は弦作りから始め、ビジネスで成功を治めて徐々に大きな会社となっていったということですが、モダン弦の分野において特筆すべきことはHelicoreヘリコア弦を生み出したことでした。

Helicoreヘリコアが革新的だったのは、第1弦から第4弦までほぼ同じゲージの弦を実現したことです。Daniela自身1997年にヴィオラを弾きはじめ、初めて出会ったほぼ同じゲージの弦だったことをよく覚えているということです。当時は、比重の重い金属を使い分けながら、同じゲージの弦を生み出すということは斬新なことで、弓のもとで非常に近しいゲージならではの弾きやすさとともに、ヘリコア特有の弦の柔らかさなどを感じることができたとのことです。ヘリコアは、当時あったドミナントやピラストロのオリーブ弦などと比べてもその差異が際立っていました。

Helicorは 私もこの2年ほど使う機会が多かったのですが、確かにそれまでのスチール弦とは一線を画すものとして、当時驚きをもって迎えられたことは想像に難くありません。

最後にDaniela の動画とは直接関係がないのですが、Salle の古老を含む住人の方々へのインタビューがネットにあったので、リンクを貼っておきます。本当にD’Addario姓の方が多くて、驚きました。訛りが強くよく聞き取れないところも多いですが、素朴なSalleの人々に会いに、いつかSalleの町を訪れてみたいと思います。

(現代のガット弦メーカー、Toro兄弟も下の動画には少しだけ出てきます)