バロック・ヴァイオリンのバズバー考

Bass bar of baroque violin is done!
There were various length of bass bar in baroque era but we can observe that a large part of them had very low heights compare to modern bar.
I was trained as modern violin maker, like many luthier, so I always need a little courage to make a low bar which are usually between5-7mm height. But if you know the correct proportion, this height appear almost naturally. So I need just to trust always my ears and harmonical proportion. And you can see that modern bassbar is make as twice higher than baroque one. So I think understand baroque method allow to understand base of modern method, too.

春を迎えて、にわかに楽器修理や調整のご要望をいただくことが増えていますが、少しずつバロック・ヴァイオリンの製作も進めています。
写真はバスバー(力木)をつけ終わったところです。

バロック・ヴァイオリンのバズバーは、モダン・ヴァイオリンのバスバーに比べて、短いというのが定説であるように思います。
実際には、様々な長さがあったので、必ずしも短いとは限りませんが、ただ、ほとんどのバスバーに共通して言えるのは高さは低かったことです。
モダンのほとんど半分ぐらいの高さのものが多く見られます。

私自身もそうですが、現代の弦楽器製作者はモダン・ヴァイオリンの製作を最初に学ぶので、どうしても低いバスバーを作るのは心理的な抵抗があります。
しかし、バロック・ヴァイオリンのバズバーの高さというのは実はハーモニカル・プロポーションを理解していればほとんど自動的に出てくるものなので、迷わずにプロポーションと自分の耳を信頼するのが大事なのかなと思います。
ちなみに最近気づいたのですが、上にも書いた通りモダン・ヴァイオリンのバズバーの高さは、バロックのバズバーの高さをほぼ倍にしたものなので、そうなったのは経験則も大いにあるとは思いますが、迷ったら原理原則に立ち返るのが理解を助けてくれるとも感じています。

あと、今回はアンドレア・アマティをベースにした楽器を作っているので、バズバーの設置にあたり、後世のヴァイオリン製作者(ストラディヴァリやグァルネリなど)に比べてかなり広いf字孔のプロポーションを採用していることをどう捉えたらたらよいのか、だいぶ長い時間考えさせられました。

バスバーは、表板のアーチ(隆起)形状、板厚、f字孔の間隔、駒位置と駒の形状などに互いに関係するのですが、検討の結果、シンプルにプロポーションに従ってよいと考えました。

逆にその結論を得たことで、アンドレアの孫のニコロやそれに続くストラディヴァリなどがかなり攻めた作りをしているのだなということを改めて認識することができたのと、アンドレアのアーチが意外と低い理由もまた見えたような気がしました。なるほどなるほどと一人でうなっていました笑

マニアックな話ですが、お付き合いくださりありがとうございます!