鈴木秀美先生とチェロと

Today I had a chance to examine a cello belong to Suzuki Hidemi, one of the leading baroque cellist in Japan.
Thank you Narita Hiroshi for introduce me to Hidemi. And thank you all for your generosity!

今日はヴィオリストの成田寛さんに、チェリストの鈴木秀美さんをご紹介いただき、鈴木さんのチェロをじっくり見せていただく機会をいただきました。

最前線で活躍をされてきたチェリストの方がどのようなチェロを、どのようなセッティングで実際に活用されているのかということを知ることは、ヒストリカルな仕様の研究と同じぐらい大事なことで、そのバランスの中に私たちの楽器製作もあると感じています。

バロックでもなく、古典期でもない、現代に生きる演奏家の方々が直面する課題はかつてのそれらの時代が抱えていたものとはまた異なることは言うまでもありません。
演奏家が生活をしていくということは、絶えざる矛盾と試行錯誤の上に初めて成り立つものだと思いますが、そうした道を果敢に進みながら、ユーモアを忘れずに取り組んでおられる演奏家の皆さんには敬意しかありません。

一方で、ヒストリカルな意味で当時を再現した楽器を作ることは私たち製作家にとっても2つの意味で容易ではありません。
1つは資料が本当に少なく、いくつもの楽器の直接調査を余儀なくされること。おそらくは演奏家の方の想像されるよりもはるかに実際的な資料は少ないのです。その証拠に本当にバロックと呼べる仕様の楽器はほとんど出回っていません。
もう1つは本当に往時の仕様を再現をした時にそれを使える演奏場面や楽曲がどれぐらいあるのかということが大きな壁になることです。バロックから初期古典派までをさらに地域に分けて、いくつもの楽器を持つことは現実的ではないからです。

そういうわけで汎用さを重んじるか、再現性を重んじるか、その両者をどの辺りで折り合いをつけるかは、演奏家によって様々で、正解はありません。

正解はないものの中から1つを選び出して、これを作ると決めることは、製作家とお客様たる演奏家との間のやり取りですが、世の常にとして実用と汎用性が重んじられることが自明である以上、アマチュア(愛好者)精神としてはその道をあえて行かないことも選択肢としてはありうるかなとぼんやり考えた1日でした。

まだ結論は出ていませんが、やはり皆さんが弾いたことがないもの、なかなか弾くことができないものを作りたいです。きっとお客様もそんなことを考えておられるような気がしています。

貴重な機会を与えてくださった鈴木秀美さんと成田寛さん、またお時間を割いて対応してくださった拝鈍亭に集う演奏家の皆さまにこの場を借りて感謝申し上げます。