
In Japan we say autumn is the season for the arts. How about your country?
(We receive many repair and adjustment requests. Especially after such intense summer.)
肝心な作業が終わってからの写真を撮り忘れてしまったのですが、写真はこれから木製ペグをギア内蔵式ペグに交換しようという準備段階の様子です。
バロック・チェロでガット弦を楽しまれているアマチュア・チェリストの方から、木製ペグをいわゆるギアペグ(ドイツ・ウィットナー社)に交換してほしいとのご相談をいただきました。
ご年配の方であったため、年々木製のペグを回すのが大変になっているということからのご相談でしたが、私自身はチェロにおけるギア内蔵式ペグへの交換は初めての経験だったため、音への影響と調弦の苦労を軽減することのバランスとれるかどうか分からず慎重になりました。
結果的には交換は大正解であったとお客様からご感想をいただき、ホッと胸をなでおろしたところです。(完成写真を撮り忘れました)
木製ペグとギアペグは材質だけでなく、重さがだいぶ異なるため、楽器によっては全体の響きに影響が出ないとも限らないと思うのですが、今回の楽器に関しては私自身も実際の影響は非常に限定的であったと感じました。
調弦の苦労やアンサンブルの時に周りの方を待たせてしまう気疲れなどからは確実に解放されるため、そのバランスを考えるととてもよいご選択だったのではないかと感じます。
奏者の演奏活動を続けていきたいという意欲がペグによってサポートされたことが何よりうれしいことでした。
また、奏者からは見えにくいことですが、今回のメンテナンスは単にペグを交換するということではなく、それに応じて楽器全体の調整をいったん見直したことも影響の軽減につながったかもしれません。音がなるべくくぐもらないように楽器の状態をよく観察することはやはり大事だと改めて思います。
一般的なモダン・チェロではテールピースにアジャスターがついているため、ギア内蔵式ペグが採用されることは多くないかもしれませんが、今回のご相談を通じてこちらもいろいろと調べることができましたので、もしガット弦愛好者で同様の悩みを抱えておられる方がおられましたら今後は対応させていただけるのではないかと思います。
工房から近くの方であれば小まめに木製ペグのフィッティングをメンテナンスすることで回しにくさをなくす対応できるとも思いますが、遠方の方や、なかなかフィッティングを定期的に直せない環境にある場合は、十分に意味のある選択肢になろうかと思います。
ちなみにギア内蔵式ペグはいつでも木製ペグに戻すことができます。