先日投稿させていただいたチェロのご相談に続いて、モダン・ヴァイオリンをバロック仕様にしてほしいという要望をいただきました。(※ ここで言うモダン・ヴァイオリンとは、現在もっとも流通しているいわゆる普通のヴァイオリンのことです。その意味では、現代イタリアのマエストロの楽器も、量産のスズキ・バイオリンなども、ほとんどすべてモダン(仕様の)ヴァイオリンと言えます。もちろん改造されたストラディヴァリの楽器なども現在ではほとんどモダン仕様です。)
ご相談をお寄せ下さったお客様に、改造はお勧めできない理由を説明させていただき、処置の内容にもご納得いただけたため、現在調整を進めております。

改造とは、主にネックをより太いバロック時代に多くみられたサイズに戻すことを指すのですが、これをすると楽器への負担、費用の負担も大きく、また処置をしたが最後、元に戻すにもまた大きな費用がかかるという問題があります。
今回のお客様はすでにプレーンガット(裸ガット)弦を使用しておられましたので、ご相談の上で提案させていただいたのは、シンプルに駒とテールピースを交換することでした。
指板については、いわゆる指板下がりもなく、そのまま使った方がよいと判断しました。
サドルは通常であれば低くしたいところですが、もともと指板(ネック)の角度がかなり強くついていたこともあり、表板への負担を考え、そのままで試してみることにしました。
こうした一連の処置を別ページにまとめてみましたので、ご興味ある方はご覧いただければと思います。