バロック・ヴァイオリンの納品(2021年・国内出張レポート〜鳥取市)

(肩掛けチェロ(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)を試奏してくださる福田様)

今回の関西方面への出張では、中国地方にも足を伸ばし、鳥取にお住まいの福田幸夫様にバロック・ヴァイオリンを納めさせていただきました。

実は今回のバロック・ヴァイオリンの製作にあたっては私の中で試してみたいことがたくさんあり、結果的に1台のご注文に対して3台の楽器を作ってしまいました。

今回はそのうちの1台を納めさていただいたわけですが、それでもなお新たに気づいたことがあるため、来年以降になると思いますが、さらにもう1台作ってまた福田様にお届けしたいと考えています。

通常1台の注文に対してこんなに作ることはないのですが、ご注文をいただいた後にこのコロナの状況となり、お会いして直接のやりとりをすることが難しくなってしまったことや、とても心温まるやりとりをしていただいたことで、私の方の製作・探求意欲を刺激されたことが結果的にそうしたことにつながりました。

バロック期の楽器の特徴として、再三お話しすることではあるのですが、現代のモダン・ヴァイオリンのように規格化された寸法やセッティングや厳密な左右対称性がないということが言えます。 そのため、モダン・ヴァイオリンのための製作コンクールはあっても、バロック・ヴァイオリンのための製作コンクールというものは成立しないと思いますし、実際に私もそのようなものは聞いたことがありません。 これは優劣の問題ではなく、あくまで文化の問題なのですが、複雑さ、捉えようのなさという意味ではバロックはやっかいです。量産にも向きません。 とは言え、そのようなバロック期にも物作りに形を与える法則はあったので、そうしたことをシェアさせていただくことも含めて楽器をご注文いただくという体験を楽しんでいただけたのではないかと思います。 また私の方も福田様のような好奇心あふれる方と意見交換をさせていただきながら製作をさせていただき、本当に楽しい時間となりました。 今回、ひとまず今時点でできることを形にして納品させていただきましたが、さらなる探究と、次の製作を今から楽しみにしたいと思います! 本当に貴重な機会をいただき、ありがとうございます!