
昨日は、コントラバス奏者でありながら、ヒストリカルな弦と響きを追求しておられる角谷朋紀さんが工房を訪ねてくださいました。
角谷さんの弦はまだ市場には流通していませんが、今回は天野寿彦先生をお招きして、主にヴァイオリンのE線、スパッラのAとE線を試させていただきました。

角谷さんにとっても初めての挑戦ということで、特にシビアな品質が要求されるヴァイオリンのE線について注目が集まる時間でした。
A=380あたりから徐々に上げていき、A=415まで切れないことを確認し、ガット特有の倍音、豊かな響きを楽しませていただきました。
弦の処理、元々の素材によっては簡単に切れてしまうものもあることが分かり、角谷さんも様々な角度から次の弦製作のヒントを発見されていたようでした。

試奏の後に2時間ほど角谷さんとお話をさせていただきましたが、ヒストリカルな弦の追求について角谷さんほど地道にされている人はいないのではないかというほど、これまでのご努力を感じ、感動しました。
楽器作り、ニス作りなどで行ってきたことと重なる部分もあり、お互いの共感も大きかったように思います。

弾きやすさ、入手のしやすさ、切れにくさを追求して市場に提供される弦とは、一線を画す弦としてヒストリカルなパフォーマンス、味わい深さを望む奏者に求められる日もそう遠くはないのではと思いました。

角谷さんのメンターでもあり、多くの弦に関する情報をくださっているダニエラ・ガイダーノさんにも改めて感謝を伝えたいと思います。
忙しい年末のコンサートの合間を縫ってご助力を下さった天野寿彦先生にも重ねて感謝申し上げます。
角谷さん、この度は素晴らしい体験をありがとうございました。試用のフィードバックも含めて、これからのやり取りをとても楽しみにさせていただきます!
