音楽家とマーケティング

このタイトルを読んで、興味を持たれる方と拒否反応を示される方は半々ではないかと思います。
私も両方の気持ちがわかります。

音楽家の職業が生業(その行為を通してお金を稼いでいる)であるにもかかわらず、マーケティングが疎んじられるのはなぜでしょうか。

それは芸術というものの本質と関係があるように思います。

ただ、今日は芸術とはなんぞやという話はわきに置き、新型コロナ・ウイルスの流行によって、ほとんどの大型公演がなくなってしまったことや、またそのことで苦境に立たされている音楽家の方が非常に多いということから、マーケティングについて書いてみたいと思いました。

先日もちょうどとある演奏家とお話をさせていただき、オーケストラの仕事がなくなったことを聞いたばかりでしたので、多くの方に興味をもってもらえるのではないかと思います。

音楽家とマーケティングを考えるときに、まず一番最初に言えることは、音楽家はほとんどマーケティングを知らないということです。それは、芸術家たるものはお金を稼ぐことが最優先であってはならないし、そんな演奏家は恥ずかしいという思いが多くの方にあり、また受け継がれてきたことで、多くの方がそう思うようになっているのではないかと思います。

また真面目な熱心な演奏家ほど、技術の向上と表現の追求などに力を費やし、それこそが自分の仕事だと信じ、マーケティングは別世界のものと考えてきたからかもしれません。

確かにほんの一握りの天才、天賦の才をもった超人は、ただ音楽をするだけで仕事になるかもしれません。

しかし、実際には多くの音楽家は才能にめぐまれつつも、モーツァルトやバッハほどの超天才ではなく、けれでも音楽のすばらしさを肌身で感じてきたがためにその豊かな才能を生かして人々に音楽を伝えたいと思ってきたと思います。

問題はその超がつくほどの天才ではないものの、すばらしい才能にめぐまれた人が意外と人数にしてみると多いということです。

つまりすばらしい才能にめぐまれているというだけでは、仕事が永続的に、安定的に続けられる保証はないばかりか、大勢の一人となって、マーケティングで言うところのレッドオーシャン(競争過多の状態、血で血を洗うような激しいシェア争いが起こる)市場に知らず知らずに入っていってしまうということです。多くの演奏家はそのことを知りませんが、おそらくはそれは才能も努力があれば成功すると教えてきた教育の問題だと思います。

こうしたことを丁寧に整理して、有能な音楽家が非常に多いこの世の中で、どのようにして、自らの情熱を生かして、しっかりした仕事を確立していくかということが実はマーケティングの仕事なのです。

マーケティングの神様とまで言われたドラッカーという経営者は「マーケティングの目的はセールスをなくすこと」と言っています。

つまり、マーケティングは金稼ぎだとは言ってないのです。これは演奏家の方にも受け入れられやすい大切なポイントではないかと思います。

演奏家の皆さんにとってもセールスや営業の苦労なく仕事が成立するとしたら、それほどよいことはないのではないでしょうか。

当工房では技術提供や、楽器製作以外にも、こうしたマーケテイングの側面からのアドバイスもさせていただいています。

ただ、どれだけアドバイスをさせていただいても、最後はご本人の変化を受ける素直さと決意が必要になってくることがほとんどなので、その意志があり、耳を傾けて自分自身に取り組もうという方とお話したいと思います。

興味はあるけれど、自分ではなかなかどこでマーケティングを学んでよいのか分からない、どのみちこのままでは八方ふさがりだから変化を受け入れる決意はできている、という方であれば、コンタクトページからメールをいただければと思います。(当面は対応できる範囲で無料で承っています。)過去の他業種での仕事の経験も生かし、少しでもお力になれれば幸いです。