時々、若い音大生の方と会うことがありますが、大きく分けて2つのタイプの人がいることを、最近感じました。
1つのタイプは、音大で一所懸命勉強し、卒業したらプロとして活躍したいと考えている人です。
もう1つのタイプは、今、まだ学生である時から、プロとして活動せねばと考えている人です。
皆さんはどちらのタイプでしょうか。
卒業してからプロに確実になれるのはどちらのタイプの学生さんでしょうか?
在学中からすでにプロとして、あるいはプロの意識で仕事を創っている人、もしくはすでに仕事がある人。
卒業してから、あるいは卒業間近になってから、就職活動として仕事を探そうと考えている人。
明らかに前者の方が仕事は見つかる確率は高いと思うのですが(と言うよりもすでにプロとして動いているので、仕事を見つけていますね)、実際にはそのように動いている人はそうでない人に比べてはるかに少ないように感じます。
この違いは何でしょうか?
私は、これは能力の差というよりも、意識の差だと思います。
在学中からすでにプロであろうとする人は、自分が何を持っていて何を持っていない、持ってないとすればこれから何を持つべきかということを真剣に考えて動いています。
その結果、その人ならではの能力や、得意分野や、キャリアをしっかり築いていくことになると思います。
そもそも芸術家に、学生とそうでない身分が関係あるのかも疑問です。
繰り返しますが、これは能力の問題ではなく、意識の問題だと思います。
のんびりしていると、自分のにそぐわない仕事をすることになります。こればどんな分野(音楽以外の)でも同じだからです。
どのような形であれば、自分が必要され、自分も楽しめる仕事を創れるのか。
新型コロナウイルスの問題が長期化する様相を見せる中で、自分自身に向き合い、本当にすべきことに自己投資できない人は、その結果を受け取ることになるでしょう。
学生時代というのは、どれだけ大変でも、仕事を始めた時から振り返れば、この上なく恵まれた時間です。なぜなら、そこでは熟考を許され、試行錯誤を許されるからです。けれども、結果を出すべきは、卒業後ではなく、今なのだということを忘れないでほしいと思います。
それでなければ音大に行く意味というのはないのではないでしょうか。
私は音大に行ったことがないので、あくまで一般論として書いていますが、しかし、その就職率を見る限り、他の大学と比べて音大が特別だとは到底思えません。
人と同じことをしていても、埋もれていくだけです。皆さん一人一人が何で輝けるのか、何にワクワクして、何であれば食事も忘れて没頭できるのか、ぜひ探してみてください。
その人にしかできない役割があるというような話を単なる精神論だと昔は私も思っていましたが、今はそれは本当のことだと思います。
私の周りでも、その人ならではの役割を見つけ続けている人が活躍を続けられています。
これからの社会はますますそのことが問われると思います。
遅いことはありませんが、気づいた時にプロとしてぜひ動き出してみてください。卒業まで待つ必要はないと思います。
