楽器のデザイン(設計)レクチャーを実施しました

先週に引き続き楽器の製図レクチャーを当工房にて実施しました。

川崎市、溝の口より弦楽器工房アルモニアのオーナーの江畑さんとお弟子の青島さんが受講してくださり、短い時間でしたが、集中して学んでいただけたと思います。

楽器の写真などを参考にコピーをして楽器を作るのが全盛であるため、昔ながらの設計法でオリジナルの楽器を個々の製作家が作るということはまだ普及までに時間がかかるかもしれません。

それでも、こうして少しずつ理解者が増え、その技法を受け継ぐ人たちが出てきているのは本当にうれしいことです。

最終日はオランダのバディアロフさんとオンラインでつないで質疑応答の時間も設けました。いろいろな質問に答えていただきましたが、その中で、「こうしたことを学べるのもここの部屋(バディアロフさんがいるオランダの)とそこの部屋だけですよ。(笑)」と言って下さり、埼玉県飯能市の片隅でこのようなことができる時代のおもしろさを改めて感じました。

今回は日程等が合わず参加できなかった方や、遠方で参加の声掛けができなかった方々もおられるので、また機会があればレクチャーは実施したいと思います。

英語ではなくすべて日本語で誰でも分かるように伝えられたことについては、評価をいただけましたし、もちろん内容についてもイタリアはクレモナのビソロッティ工房で修業をされた江畑さんでさえも「目からうろこだった」と言ってくださったので、すべての製作家に必要な技法であることは間違いないと思います。

私もバディアロフさんから教わり、一生ものの技法であることを毎回楽器を設計するたびに痛感し、感謝しています。

そして、この技法はいずれプロの演奏家の先生方にも理解されるべきものであると考えていますので、少しずつマニアックになりすぎないように、大切なエッセンスを演奏家の皆様にもお伝えしていきたいと思います。それによりきっと皆様の楽器選びや、生徒さんへの楽器の勧め方もまた変わってくると思います。

今回参加してくださった江畑さんと青島さんはきっと、学ばれたことをもとに写真などからのコピーではない本当の彼ら自身のオリジナルの楽器を伝統に基づきながら作っていってくれると思います。ぜひお近くの方は彼らに楽器を注文してみてください。量産されるコピーではない、その人ならではの楽器が作れるという驚きをきっと届けてくれることと思います。

参加してくださった江畑さん、青島さん、史料の提供とオンラインでの参加に力を貸してくださったバディアロフさん、そして今回参加はできなかったものの関心をお寄せいただいた皆様に心から感謝したいと思います。

また遠からずお会いしましょう!

そして日本から、ヨーロッパの古い伝統、持続可能な環境と文化の中で生まれた失われた技法を用いた親方たちの(昔の楽器のコピー製作ではない!)楽器作りと、それによる演奏家の皆様への力強い貢献ができる業界を創っていきましょう!