製作家という非常にマイナーな仕事ながら、なぜいきなり開業して(1年ほど前に開業しました)仕事がうまくいっているのですか?と相談されることがしばしばあります。
一言で言うと不足感から行動していないからではないかと私本人は思っています。
特に今のように新型コロナウイルスの影響で様々なことが以前のようにできなくなると、以前でさえも大変だったのに、もうこれ以上追い詰められたら何もできないし、何も稼げない!と思ってしまう人が多くいるように感じます。
そのように感じたくなってしまう気持ちは分からなくはありません。でも、それは物事の見方の問題だと思うのです。
もちろんこれまでのあり方に頑なに固執し、執着して、それをプライドだと勘違いしていれば身動きはとれなくなるでしょう。
このような時に思い出すのは、エルメスやルイヴィトンの話です。これらのブランド・メーカーは、かつて馬具を製造する会社でした。しかし、車(=変化=新型コロナウイルス)が出てきて馬車が必要とされなくなったときに存亡の危機に立たされ、馬具を使った技術を他の何かに向けられないかということを模索し、服飾メーカーを目指し、今の地位を得るに至ったというのです。
もしエルメスなどが、自分は馬具のプロフェッショナルなんだ、他のことなどできるか!と言っていたとしたらどうでしょう。きっと会社は続かず、多くの職人と家族が路頭に迷ったことと思います。
また、今日、馬具から服飾ブランドになったエルメスを馬鹿にする人などいないでしょう。それほどラディカルな変化を強いられ、仕事の内容を変えたにもかかわらず、エルメスは一流になり続けたということだと思います。
仕事の仕方の変化などは大きいようで、実は大した変化ではない、むしろそれをチャンスと捉えられない自分の石頭が問題だと思えば、次の発想も湧くかもしれません。
しかし、滅びの美学、衰退と凋落をプライドの現れだと考える人にはこのような話は通じないことと思います。
皆さんが何を選択されるかは自由ですが、地球の変化に順応することことが生きのびる術であり、それは案外楽しいことだと考えてみてはいかがでしょうか。
今までと同じ行動では、同じ結果しか出ません。大きな行動が、一見賭けとも見える行動が、次のチャンスを切り開くものと思います。
「最も強い者が生き残るのではなく、最も賢い者が生き延びるのでもない。唯一生き残ることが出来るのは、変化できる者である。」このダーウィンの言葉が今ほど真実味を持って感じられる時はないと思います。
変化を悲観するのはやめましょう。むしろ、変化を楽しみ、これまでの時代ではできなかったことを楽しめる可能性があることを模索してみませんか。
あなたがノスタルジーにとどまる選択をするのなら、それはあなたの選択ですが、そのことで変化する選択を果敢にする人たちを見て、彼らは質を落としたと馬鹿にするとしたら、後であなた自身が大きなツケを支払うことになるような気がします。
演奏の質を落とせ、レッスンの質を落とせというようなことは誰も求めていません。そうではなく今までできなかったことを求めるのです。どうやって?そこは知恵の絞りどころです。正解が一つだけであったら、仕事の領域(マーケット)は過剰飽和するでしょう。誰かに問うのではなく、必死で一人一人が自問すべきと思います。周りの人に相談するのもよいでしょう。今こそ私たち自身の両耳の間にあるものを懸命に使うべきと思います。今までは私たちは大して使ってこなかったのです(笑)
私が私なりに仕事が楽しくできている理由があるとすると、素晴らしい演奏家や愛好家の方々に恵まれながら、変化そのものを楽しんでいるからではないかと思います。
そして周りのうまく行っている方を見ると、やはり果敢な行動がとれる人が多いと感じます。なぜなら、勇気ある人に人は勇気づけられ、そういう人に人は近づいていくから、自然と人が集まり、その出会いと化学反応の中から新しい仕事は自然と生まれるからです。
変化を楽しみましょう!!
きっと楽しいことがあると思って、それが何か探ってみましょう!今のような変化を人類は何度も乗り越えてきているのです。周りの声に惑わされず、自問し、インスピレーションを拾い上げましょう。ありえない、ありえなかった物事の組み合わせを考えてみましょう!やったことのなかったことに挑戦してみましょう!皆が縮こまっている時だからこそ、ジャンプできる人は必ず伸びるのです。きっと今ほど芸術家の表現者としてだけでなく、創造者としての真価が問われている時はないと思います。
