Jhohann Mattheson がハンブルグで1713年に出版した’Das Neu-Eroffnete Orchestre’ において肩掛けチェロがどのように記述されているか見てみたいと思います。
肩掛けチェロ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ(※ちなみにこの名称はイタリア語のものです)に興味を持っておられる方はぜひ下記をご一読ください。
英語に訳されたものをまずは引用したいと思います。
“The exellent Violoncello, the Bass Viola, and the Viola di Spala are small bass violins in comparison with the lager ones with five or six strings, upon which one can play all manner of rapid things, variations, and ornaments with less work than on the laeger machines. Additionally, the Viola di Spala, or Shoulder Viola produces a great effect when accompanying because it cuts through strongly and can express the notes clearly. A bass (line) cannot be brought out more disctinctly and clearly than on this instrument. It is attached by a band to the chest and thrown at the same time on the right shoulder, and thus has nothing that in the least holds back or prevents its resoance”
つまり、Violoncello (伊ヴィオロンチェロ=英チェロ)は小さなBass Violin だとマテゾンは記述しています。
そしてそのVioloncello (=英cello =和チェロ)は、他にもBass ViolaやViola di Spala という名称があると言っています。
さらにこの「チェロ」という楽器は速いパッセージや、装飾音を大きなタイプの楽器に比べてより労力少なく弾きこなすことができるというのです。
また合奏においては、音をはっきりとクリアーに出せると書いています。その様子は他のバス(低音)部を担当するどの楽器よりもクリアーだというのです。
弾き方としては、バンド(ストラップ)を胸と右肩に回して(投げて?)楽器をとりつけるのでそれにより楽器の響きを妨げることがないと書いています。
この記述を皆さんはどう思われるでしょうか。
私が製作者として興味をもつのはこれがライプツィヒではなく、北のハンブルグで出版されているということです。
小型の肩掛けチェロはライプツィヒのHoffmannが注目されることが多いですが、こうした情報が当時北方にもあったことを考えると、北にもこうしたサイズの楽器を作る製作家がいたのではないかということも考えられるからです。
謎は深まり、広がりますが、こうしたことを1つ1つを演奏家の皆様とワクワクしながら探っていきたいと考えています!
(’Das Neu-Eroffnete Orchestre’の目次と原文も掲載しておきますので、ご覧ください)