心に思い描いたものが実現する

もう20年も前のことになるかと思いますが、まだ楽器製作も駆け出しだった時に、自分の先生に頼まれて銀座の某弦楽器店に楽器を届けたことがありました。

その時にそのお店の社長さんと、ひとしきり古いオールド楽器と呼ばれる名器について会話をさせていただいたあとで、その社長さんが、「君は見込みがありそうだから、ちょっと実験をしてみようか」と言われ、次のようなことをその場でしていただきました(おそらく若い人たちに誰にでもそうしてくださっていたのだと思いますが)。

社長さんに「目をつむってみて」と言われ、直立不動で立ったままで目を閉じました。

次に社長さんが「よし、そうしたら目を開けたら赤いものを探して!」とおっしゃるので、赤いものをキョロキョロ探しました。もちろん赤いものがいろいろと見つかりました。

その次に「よし、そうしたらもう一度目をつむって」と言われ、もう一度その場で言われるがままに目を閉じました。そして、次は「今度は目を開いたら青いものを探して」と言われました。

目を開いて青いモノを探すと、イギリスの調度品で飾られた部屋の中で次々と青いものが見つかりました。

社長さんはその後で、このようなことを話してくれました。

「赤いものを探している時は、赤いものばかり見つかって、他のものは目に入らなかっただろう?逆に青いものを探しているときはそればかり目に入っただろう。人間の脳はそういう風にできているんだ。やりたいこと、見つけたいことに焦点を当てていればそれに出会うし、手に入る。覚えて、君もそうしてみなさい。」

このことはいつもはほとんど忘れてしまっているのですが、時折思い出し、そうだよなあ、社長さんのいう通りだなあと思うのです。いいことも大変なことも、自分が焦点を当てているなあと思うことが多いからです。

今朝、たまたまこれから仕事の中でやりたいことについていろいろ思いを巡らせていた時に、ふと思い出し、書いておこうと思いました。この出来事は時々思い出すことで、過去にもブログ記事に書いたような気もしますが、自分のためにまた書いておきます。

おそらく、今後も思い出すたびに同じことを書く気がします。それぐらい社長さんの教えてくださったことは普遍的なことであるように思うからです。そういうことを教えてくださったことに感謝だなあと思いますし、若い人たちにも伝えていきたいなあと改めて思いました。