板の厚みや調整

昨日は楽器外周部を整えていました。

楽器を作る手順は様々ありますが、大きく分けて①表板と裏板の厚みを仕上げてから、横板に接着して音響箱を完成させる方法、と②表板と裏板を先に横板に接着して音響箱の形にしてから板の厚みを仕上げる方法があります。

①は、イタリアではカッサ・アペルタ(cassa aperta) と呼ばれ、②は、カッサ・キユーザ(cassa chiusa) と呼ばれます。

直訳すると、開いた箱、閉じた箱ということになると思います。

私はここ最近は②の音響箱の形にしてから板の厚みを整える方法で楽器を作っていますが、その場合、パーフリング(縁の象嵌)を入れてから、写真のように縁周りの溝を掘って外周部の厚みを仕上げていくことになります。

この時にすでに箱となっている楽器は作業に合わせて振動し始めます。表板、横板、裏板が一つとなり、まさに刃物の音で楽器を鳴らしながら厚みを整えていくという感じにになるのです。

実は製作学校ではまずは①のやり方を教わることが多いのですが、これは①の方が、技術の習得をする上で、計測がしやすいためです。計測を重視する場合は①の方法、すなわち、表板、裏板、横板をそれぞれに仕上げてから接着して組み上げる方法を取る方が指導もしやすく、また厚みや重さなどの面では均一なものが作りやすくなります。

どちらのやり方にもそれぞれの面白みがあるので、私も①でやることもありますが、楽器を作っている!という感覚になれるのは個人的にはやはり②の方かなと思います。

こうした作り方の違いはどうもモダン弓とバロック弓の作り方の違いにもあるようです。