時々、市販のニスを使いたくなる誘惑にかられるほど、自家製のニス塗りは難しいです。
おそらく、やり方が固定されており、決まっていれば難しいこともないと思うのですが、今回も頭を抱えながら塗っています。
迫力のある楽器にしたいということは多くの製作者が思うところですが、作業の勢いと、精度をバランス良くとることは口で言うほど簡単ではなく、また塗装は特に工程のやり直しがほとんど効かないので、塗り方によっては、それまでの積み重ねを全てドブに捨ててしまうことになりかねないこともあり、常に悩みます。
現在は基本的にバディアロフさんの楽器の塗り方を参考にさせていただいて進めているのですが、下地とニスの食いつきがなかなか難しく、毎回泣きながらやっているような気がします(笑)
昔のクレモナ の製作者の楽器なども下地と上塗りのニスがあまり強く接合しないために、上塗りのニスが簡単に剥がれてしまっていたことが、今日よく知られています。
それほど下塗りのニスはある意味堅牢なのですが、バディアロフさんの下地も、上塗りのニス泣かせで、まだ自分も十分にコントロールできているとは言えません。それでも魅力があるから採用するわけです。
昔のニスのように何年も、何十年も、何百年経ってからも味わいのあるものであってほしいと願いますし、上塗りのニスがいつか剥がれていっても美しい下地が現れるようであってほしいと思います。
毎回発見があり、毎回それを積み重ねていかなければなりません。また、少しのことを変えただけで、前回うまくいったことが今回はうまくいかないということもしょっちゅうあります。
ついついため息をつきそうになってしまいますが、願わくば、いい音に結実しますように!そう祈って進めるしかありません。