J.S.Bachに親しかった製作家Hoffmann の製作した肩掛けチェロがオリジナルの状態で現存するかどうかという点について、いつも引き合いに出されながら、ベールに包まれている楽器があります。
それがこの写真の楽器です。
この楽器は1945年に撮影されたとされるHoffmannのオリジナルネックを保った肩掛けチェロ、ないしviola pomposaと言われています。
しかし残念ながらいつからか行方不明になっています。
大元の写真は現在もドイツの博物館に所蔵されているようですが、驚くことに写真から類推されるほとんどの主要な寸法がブリュッセル にあるHoffmann よりはやや後世の作と思われる楽器とほとんど同じです。
これが何を意味するかは分かりませんが、仮にブリュッセルの楽器がHoffmannのものでないとしても、その出所を探ることは興味深いことかもしれません。
また、この楽器がどのような経緯で行方不明になったのかも分かりませんが、そうしたミステリーも含めて、今年は引き続きHoffmann ファミリーについて学んでいきたいと考えています。
ちなみにこの楽器以外にも1730-40年代の製作とされる同じサイズの楽器が3-4台あることが確認されていますが、この不思議なサイズの楽器がこれだけ見つかっているということだけでも十分驚くに値すると思います。