ヴァイオリンなどの横板が2mm に満たない厚みだと言うと驚かれることがありますが、実際横板の厚さは楽器の鳴りに非常に大切な役割を果たします。
厚け過ぎれば鳴りませんし、薄すぎるとちょっとした衝撃で割れたりしてしまいます。そのバランスを見ながら厚みを決めていきます。
材はすでに製材されていることがほとんどですが、肩掛けチェロの場合そもそも材が特殊なサイズで売っていないので、製材もしなければなりません。今回は次の肩掛けチェロのための材を切り出しました。
立派な大きな機械(バンドソー)があればできますが、残念ながら当工房にはないため、鋸(のこぎり)で挽きました。日本の鋸は本当に優秀なので、縦挽き(たてびき)と呼ばれる刃の鋸があれば、実は想像するほど難しくはありません。
ヨーロッパでは弓鋸などと呼ばれるもので切ることがほとんどですが、刃や道具が手に入りやすい方で、道具を選ばずに進めなければいけないこともあるということです。
職人仕事は、「道具にこだわる」ということと「道具を選ばない」という2つの面が両方合わさってできるものではないかと考えています。