どのような仕事でもそうだと思いますが、楽器を作っているといろいろと予定にないことが起こります。
今回のストラップ作りもその1つでした。
肩掛けチェロ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラにはストラップが必需品ですが(様々な文献に出てきます)、私は当初それを作る気はなく、最初の1台目のストラップはオランダのバディアロフさんから購入しました(バディアロフさんも外注しています)。
以後も彼の方から購入しようかと考えていたのですが、突然ストラップが手に入らなくなったから、自分たちで調達してほしいと製作仲間のグループに連絡がありました。
そこで、外注をしてもよかったのですが、オリジナルが1つ手元にあったこともあり、自作をすることにしました。
何より、最初の材料調達等は費用がかさみますが、それでも自前で作った方が個々の出費は抑えられるということもありますし、よほど贅沢な仕様のものを望むのでなければ、クオリティーのコントロールもしやすいというメリットもあります。一般的な弦楽器工房・店ではあまり見られない作業だとは思いますが、ふだんから実用品の範囲でレザーワークもしているので、できるだろうと考えたということです。
以下の写真はその工程です。
まず厚手の半裁ヌメ革を専門の業者さんより仕入れました。
大きくて工房で保管するにも場所がないので、それを使用できる部位だけを革包丁切り離したうえで、ストラップのサイズにまずは裁断しました。
裁断したものをさらにストラップの形状に落とし込み、あとは引っ掛かりとなる部分を作ったり、ニートフットオイルを塗り込み、コバ(端の部分)などを仕上げ完成です。
書くと簡単ですが、木とはまた異なる革の扱い方の難しさは、なかなか自分でやってみないと伝わらないので、細かいことは書かずに写真を掲載するにとどめます。
1本目は試しに革の裏面にあたるトコ面を目留めしてきれいに仕上げてみたのですが、留めてしまうとやや革が固くなるのと、滑りがよくなり過ぎるので、ご注文いただいている楽器におつけするものは目留めはせずに、切りっぱなしにしたい考えています。