チェリスト、Paul Dwyer さんの「バッハのチェロ」に関する記事(リンク参照)の紹介です。
「昔のチェロ」「もともとのチェロ」について書かれた文献は多いのですが、Dwyer さんの記事は「昔のチェロ」を用いた奏者・作曲家たちの関係まで描いてくれているため、とても分かりやすくなっています。
記事はバッハの時代も含めて様々なチェロがあったことを彷彿とさせてくれます。
特に冒頭に挙げられたバッハと同時代に生きたバッハの従兄のJ.G.Walther の記事は、肩掛けチェロ(ヴィオラ)の存在をはっきりと伺わせる記述の1つと言えると思います。
「ヴィオラのように調弦される」と書かれており、「ヴィオラと同じに調弦される」と書かれていないことがミソだと思います。
これはCGDAの5度調弦…と推察します、ただしイタリア語で言うところのvioloncello、すなわちチェロとしてです。
Walther の記事に限らず、既出にもかかわらず未だに知られない記事が多いのは、これまで楽器そのものがあまりに少なかったことに加え、我々の頭が弦楽器はサイズがスタンダード化されたヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスだけと強固に思い込んでいるからではないかと思います。
Waltherの記事だけでもぜひご一読下さい。バッハの時代に活躍する数々のかわいいスパッラたちの姿が思い浮かんでくると思います。
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