赤津眞言先生の試奏

昨日はシギスヴァルト・クイケンの弟子であり、また同僚でもある赤津眞言先生が肩掛けチェロ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラの試奏に来てくださいました。

赤津先生ご自身は、スパッラ弾きにはならないと公言され、あくまでバロック・ヴァイオリニストに徹する姿勢を持っておられますが、これまでスパッラを使って様々なコンサートやレコーディングに参加されてきたご経験から、沢山のお話を聴かせて頂くことができました。

また天野寿彦先生と肩掛けチェロ2台によるデュエットをサプライズで聴かせていただくこともでき、新鮮な驚きのあるうれしい1日となりました。

赤津先生はある意味、スパッラの第一世代と言えるかもしれません。10年ほど前にスパッラが再び見出され、活用をされ始めた時に最初の模索をしてきた方々の一人です。

ただ赤津先生のお話を伺って感じたのは、10年前にスパッラが再発見された後、スパッラを人々の喜びと幸せのためにどのように使うのかということが定まりきらないうちにそのブームが下火になってしまったということです。そのため、お話を通して10年前でスパッラだけ時が止まってしまっていると感じた場面もありました。

その意味では今、10年前には再興の中心にはおらず、第一世代に憧れを持っていた私のような人々がスパッラを見直す時期にきているように感じます。

先人たちの素晴らしい働きに感謝しつつ、新しい世代がこれからどのようなスパッラの活用を創造できるのかということが問われているように感じました。

そして、逆説的ではありますが、そのためには10年前にはバディアロフさんやクイケンさんなど本当に一部の人たちしか追求できなかったスパッラの調査をもう一歩踏み込み、ヒストリカルな土台を得つつ、かつ、なるべく多くの方に伝わるように噛み砕いて、楽しく広めることも必要とされているように感じました。

そうするうちにヴァイオリンやヴィオラや大型のチェロ用に、誰もが疑問を持つことなく楽しめる楽器にスパッラがなる日もやってくるのではないかと思います。

赤津先生には新旧2つのモデルを弾いていただき、実践的な視点から感想をいただくこともできました。お越しいただいたこと、本当にありがとうございます!