今日は先月に引き続き、武蔵野音大に所属されている楽器の調査を行いました。
楽器の調査は実費で行われ、まったくそれ自体は収入になりませんが、信頼して注文をしてくださる皆様のためにもできる限り多くのデータをもって、活用し、よいものを作りたいと考えて続けているものです。
武蔵野音大の写真の楽器は、ヴィオラ・ポンポーサ(ポンポーサpomposaは、「華麗な」などの意味)の呼称で収蔵されていますが、当工房で扱っている肩掛けチェロ、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラと構造的にもほとんど違いはありません。
この楽器の呼称については、非常に話が長くなるので割愛しますが、いろいろな名前で呼ばれていたのだなとひとまずは考えていただければと思います。
今回の楽器は、ドイツのヴィオラ奏者Ulrich Kochウーリッヒ・コッホ氏が使っていたもので、youtubeなどで録音された演奏を聴くこともできます。
武蔵野音大ではコッホ氏に師事したヴィオリストでもある博物館責任者の守重様にご案内をいただきました。
形、大きさともに私が作っている楽器に非常に近いものであるため、大変興味深く調査をさせていただきました。
この楽器は、ネック(持ち柄)こそオリジナルでないものの、5弦のペグボックス(糸巻き箱)、ヴィオラよりはるかに高さのある横板の付いたボディはオリジナルの状態をよく留めていました。日本では、おそらくここ以外では見ることができないものではないかと思います。
必要としている主なデータはとることができましたので、これを検証し、新作の製作にまた活かしていきたいと思います。