私たちが今日、一般的に見る弓はフランスで発達した弓でアジャスターと呼ばれるネジで弓毛の長さを調整する機構がついています。
しかし、上のレオポルト・モーツァルトの『ヴァイオリン奏法』の挿絵を見るかぎり、バッハはもちろんのこと、モーツァルトの時代においても少なくともドイツ語圏ではアジャスター付きの弓はまだほとんど普及していなかったのではないこと思われます。
このことを考えてみたいと思ったのは、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラの演奏を精力的にこなしているセルゲイ・マーロフさんが、スパッラでベートーヴェンやイザイなども演奏しているのですが、弓は(初期)バロック弓にかぎる(ほかの選択肢は考えられない)と言っているとバディアロフさんから聞いたためです。
このあたりの理由の分析は私1人ではできませんし、演奏がそれぞれの個人的な感覚かもしれませんので、ぜひ皆さんにも試してみていただきたいと思っています。
今後も試奏に来てくださった皆さま、楽器を注文してくださった皆様と意見交換をさせていただきながら探っていきたいと思っています。