スパッラの調整は地元でできますか?

「スパッラを購入したとして、その後の調整は地元の楽器店でできますか?」

というご質問を時々いただくことがあります。

もちろん可能です。肩掛けチェロ、スパッラの基本的な構造はヴァイオリン族の他の楽器と変わりませんし、そもそもその昔はチェロと呼ばれていた楽器でしたので、技術者のいる楽器店さんであればメンテナンスは可能です。

また、スパッラ特有の調整については、お客様の懇意にされている楽器店の技術者の方に私の方から直接詳細を伝えることもできます。

また点検と部品交換を伴わない音調整であれば、当工房に来ていただければ製作者生涯保障としていつでもさせていただいています。(※要予約、部品交換が伴うメンテナンスと修理は有償になります)

バロック指板の製作・交換ができる楽器店さんであればそうしたメンテナンスも依頼されても問題はないでしょう。

弦楽器は、実はサイズが大きくなればなるほど繊細になります。

これは大きなサイズの楽器が低音を担当するため、楽器のサイズに比べると板の厚みなどは比較的薄めになるためです。大きくなれば、その分板も頑丈に厚くなるわけではないのです。もちろん多少厚くはなりますが、そのサイズほどではありません。

そこで、チェロやコントラバスは、ヴァイオリンなどと比べて変形がより起きやすくなります。スパッラも例外ではありません。さらにスパッラの場合は5弦ということで、同じサイズの4弦の楽器に比べてもさらにかかる圧力が大きくなります。そのため、夏場に高温多湿を避けるなどの管理は一層大事になります。

製作者としては、数年に1回でも楽器を確かめさせていただくと勉強になりますし、深刻なトラブルなどが起きる前に点検をさせていただく機会にもなったりしますので、遠方の方でも機会があれば持ってきていただけるとうれしいと思いますが、基本的には近くに技術者の方がおられればメンテナンスは可能なのでその点はご安心ください。

また近くに技術者がおらず、こちらに来ることも諸事情で難しいという場合は、メール等のやりとりで情報交換をさせていただいた後で、交通費をご負担いただく形で私の方から道具を持って伺うこともできます。