最近あまり作業の様子を載せてこなかったので、今日は作業の一端を載せたいと思います。
今朝はヴィオロンチェロ・ダ・スパッラのネック接着をしました。上の写真は仮留めの時のものです。
仮留めというのは、接着に入る前に行う予行演習のようなものですが、この時に位置を定め、写真のように糸を垂らしてネックが楽器の中心に対し、まっすぐ入っているか見ます。重しに適当なものがないので、洗濯バサミを吊るしています。
ペグボックス(糸巻き箱)の中にピンを刺して、そこから糸を垂らすのですが、ストラディヴァリなどの昔の製作家のペグボックスにもそのピンの跡が残っているものがあります。
今日では、一般的なヴァイオリンは、このような作り方はしなくなってしまったので、ピンの跡はほとんどありませんが、個人的にはこうした作業の痕跡や、ツールマークと呼ばれる刃物の削り傷などがいくらか残っているのは嫌いではありません。と言うよりもむしろ好ましくさえ感じます。ただ、だからと言ってわざわざ残すのもわざとらしく好きではないので、できる限り消しますが、それでも至らずに残ってしまったものは、それはそれでよいと思うのです。
丁寧を極めて、精緻に精緻に作るのもいいのですが、そうすることで逆に失われてしまうものも多いと感じます。この辺りの、丁寧さと、適当さの塩梅が楽器の個性をつくる重要な要素でいつも考えさせられるところでもあります。
ネックが無事に接着されたので、表板を早く仕上げたいと思います!