ディミトリー・バディアロフさんがフェイスブック上で、小型の5弦肩掛けチェロ(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ)に関する演奏家向けのオンライン・レクチャーを開始したようです。
チェロという楽器に様々なサイズがあり、バッハの時代頃までは5弦がスタンダードであったことは、現代ではあまり知られていません。かつて5弦を想定して作られた名曲も多くあるということです。とは言え、小型の5弦チェロのための教室も、学校もない中で、かつてのチェロの姿を再び見出すことは容易ではありません。
バディアロフさんは、このレクチャーの中で、演奏家の皆様に
・かつてヴァイオリニストやヴィオリストのための小型のチェロが活躍し、また歴史の中で失われた歴史的証左について
・小型のチェロで何を演奏することができるか
・なぜ、小型のチェロが有効か
・どのように演奏するのか
・どのようにすれば早くマスターすることができるか
・失敗を避けるために必要なこと
・どのようにして昔の文化の伝道者としてこのインターネット時代に成功することができるか
ということなどを伝えようとされているようです。
カザルスに見出されるまで、バッハのチェロ無伴奏組曲が失われてしまったのは、かつて大型のチェロを専門として演奏するチェリストという専門職が出現し、オーケストラを中心に音量を求められる傾向が進んだ結果、ヴァイオリニストやヴィオリストのための小型5弦チェロが失われたことと重なるように思われます。
バッハのチェロ組曲は、その当時小型の5弦チェロのものという認識が人々の間にあったため、大型のチェロが主流になる中で、あれは小型チェロのための曲だから…という認識から楽器とともに姿を消したとは考えられないでしょうか。研究が待たれるところです。
今再び、当時の舞踏の空気をまとったチェロを手にする機会が来ていると思います。
英語にはなりますが、興味を持たれた方はぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。(フェイスブックに登録していないと見れないかもしれません)