ランサローテ島2日目・製図

ランサローテ島に入り2日目は、1日を通して製図のレクチャーが行われました。

1日が終わるとヘトヘトでしたが、今回は私はあらかじめバディアロフさんに相談をし、バロック・ヴァイオリンの製図を行うことができました。

なぜプロの製作家が集まり今更製図を??と思われるかもしれませんが、弦楽器の製図方法は失われた技法の一つなのです。

実は近現代においては、昔の名器のコピーや模倣が主流となり、一から楽器を製図するということがその方法とともに失われてしまいました。

昔の名器をモデルにすると質が落ちるかというとそういうことではありませんので、そこは誤解がないように記しておきますが、ただ何もないところから楽器を描くことができなくなっていたのは確かです。

私自身もバディアロフさんから2006年ごろにコンセプトを教わり、2017年に本格的に教わるまでは昔の製図方法に無知でした。私だけではなく、イタリアでも失われてしまった方法であったために、イタリア留学を通しても教わることができていなかったからです。

しかし、伝統と根拠があり、かつ個性が自然と発露するオリジナル製図は私の亡くなった先生を含めて多くの現状に飽き足らない製作家の願いであることは確かです。

ストラディヴァリ・モデルやグァルネリ・モデル、グァダニーニ・モデルなど昔の名器をモデルとした楽器が数限りなく作られたり、オールドと呼ばれる古い楽器が珍重されるのは、元の楽器にオリジナル性があるからです。

古い楽器がなんでもいいわけでは全くありませんが、少なくともそれがオリジナルであり、希少性をもっているという点で、珍重されています。もちろん音がよいこともありますが、そうでないことや、もっとひどい時は本物でさえないこともままあります。

しかし、オリジナルで製図し、模倣ではない楽器が作られ、オリジナルを買うことが当たり前になれば、詐欺まがいの贋作の売買などは自然と影を潜めていくのではないかと思いますし、何より人々が手にできる価格帯の中で、本当に良いなる楽器が手に入るようになるのではとも期待しています。

今回製図したバロック・ヴァイオリンは、バディアロフのオススメ・プロポーションで描いてみましたが、オススメ…と言ってもすでにそこに一人一人の個性が何をしなくても現れてくるのがおもしろいところです。またクラシカルなプロポーションとの違いも意識ができたこともとてもおもしろかったです。両方のプロポーションで、今後は製作したり、さらにはまた独自のプロポーションも組んでみたいとも思っています。