ヴィオラ奏者の仕事というのものは、1900年代まで独立した職業として確立されていたものではありませんでしたが、1900年代になってから独立した専門職として扱われるようになってきました。
それまではヴィオラを弾く方はもちろんヴァイオリンも弾かれ、場合によっては作曲もするなど、単一の楽器での職業というのは考えにくい状況にあったと思われます。
翻って現代を見るとどうでしょうか。
先生が単一の楽器しか弾かなければ、生徒もほとんどの割合でそうなると思われます。先生の自体にはそれが時代に適合していたかもしれません。いくつもの楽器もつと専門家としてポジションがぼやけてしまう時代だったかもしれません。
しかし今はどうでしょうか?
ヴァイオリン、あるいはヴィオラの単一の仕事だけで十分でしょうか?
近代以前の演奏家の仕事の形というものは、もっと形にしばられないところがあったように思います。
特にバロック音楽などをレパートリーに加えるなら、複数の楽器を扱えることはむしろ自然なことと思えます。もちろん、楽器を持ち替える事の難しさや、それによる専門性の低下が危惧されることもわかりますが、それよりも単一の路線で、誰もが同じことしかしないという状況の方が危機的ではないでしょうか。
ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラに限りませんが皆さんが情熱を傾け、開拓の可能性を信じて打ち込めるものがあれば、そこにみなさんならではのポジションと新たな仕事が生まれると思います。
そのようなことが可能となるサポートをしていきたいと思っています。