(写真上、イタリアから一昨日届いた割材)
よく、木材は10年、15年寝かせなければ使えないと言います。
本当でしょうか?
実は年輪年代学の発達などにより、最近の研究から、昔のクレモナの製作家はさほど年数の経っていない木材を使っていたということがわかってきています。ではどれぐらいかというとせいぜい2年も乾かせば使っていたという感じです。
昨年亡くなられたクレモナのモラッシー師も生前にお話ししたときに、自分ばむしろ古い材は使わない、15年も経つと何か分からないけど変わってしまうとお話しされていました。
職人の手の感覚の中の話なので一般方にはわかりづらいかもしれませんが、私も実はあまり古くない方がよいと感じています。
ではなぜ、寝かさないと、古くないとという話が出てくるのかというと、いつまでたってもひどく暴れるような質の材があまりに出回りすぎているからです。
別の言い方をすれば、適切な季節、適切な時期に木材を伐採することが今日は非常に難しくなっているためとも言えるのではないかと思います。
しかし、残念ながら伐採する時を間違えた木材は何年経ってもいい木にはなりません。木が生きているうちに樹液を吐き出させ、軽くなっていなければ、後からそれをやろうとしてもできないからです。
これはもちろん科学的な話ではなく、毎日木を削ってる私たちの感覚からくる話ですが、研究をされる方がこうしたことをさらに裏付けてくれることを期待しています。