Piccinotti の楽器取り扱い

来年からのオープンに向けて、本格的に敬愛する師の一人であるMarco Imer Piccinotti の楽器取り扱いメンテナンスを進めてまいります。

今年は、たまたま知り合いの方よりPiccinotti の楽器鑑定を頼まれましたが、残念ながらその楽器は「もともとPiccinotti であった」楽器となってしまっていました。昔から優秀な楽器はラベルだけでは判断できません。すばらしい楽器ほど、1つの楽器が分解され、別の部品と組み合わされて売られていくケースが後を絶たないからです。その楽器を見たときには、本当に残念な気持ちになりました。表板は交換され、板は削られ、ニスは汚され…。楽器の価値はなくなっていました。オーナーの方がそれを知った時の気持ちを考えると残念でなりません。

「もともとPiccinottiであった」楽器を増やさないため、購入後に残念な気持ちになってしまう演奏家の方を出さないためにも、Piccinottiの楽器の拠点として活動することは私の使命だと思っています。ぜひ定期的なメンテナンスと販売は当工房にお任せください。

また、私自身が、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラなどの楽器の製作に集中するためにも、モダンの質の良い楽器は師であるPiccinotti とその工房に任せたいと考えています。

Piccinotti の楽器はモダンとは言え、セットアップの各所に、モダン以前からの伝統も取り入れており、それが彼の楽器の音色を豊かにしております。たとえば、テールガットは、今日では、ナイロン、ケプラー、ダイニーマ(イザナス)などの化学繊維が主流となっていますが、天然ガットに代わるものではありません。天然ガットを使う製作家は、極端に減ってしまいましたが、往年の名演奏家は皆、天然ガットを使っていました。たとえ、弦に今日手に入りやすい安定的な化学繊維弦やスチール弦を使ったとしても、テールガットに天然ガットを使っていただけるだけでも音色への影響は大きくあります。Piccinottiの楽器はながく天然ガットを使っており、化学繊維のそれより定期的なチェックが必要ですが(毎日弾かれる方で、3~5年に一回交換)、それを使うだけのメリットがあると感じております。

音色を確かめていただき、買った後も安心でき、いかんなくパフォーマンスを発揮していただくために、将来に渡っても安心できる楽器をお探しの方は、当工房にご遠慮なくご相談ください。

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