ナットとサドル 2

10年ほど前までは国内でもマンモスの牙が比較的入手しやすかったのですが、いつの間にか手に入りにくくなり、代わりに以前は見られなかった象牙片が手に入るようになりました。マンモスの牙は隣国で大量に消費されているという話も聞くので、そのためかもしれません。日本では正規の業者から購入すれば所持が罰せられることはありませんが、中国では販売はもちろん所持も現在では処罰対象のようです。伝統工芸に従事する方々はマンモスの牙を使わざるを得ないのでしょう。

日本国内に限って言えば象牙は使用できるものの、使ってしまうと、海外への持ち出しが制限されてしまうので、来年以降に作る予定をしている楽器には、基本的には鹿角や水牛の角、あるいは牛骨や黒檀で作られたナットやサドルを付けていきたいと思います。どの素材にするかは実際に音を出してから決めてみたいと考えています。

象牙は良いものが手に入る時とない時がありますが、間違った経路で不法に入ってくることがないように象牙もしくは加工品の販売を登録している正規業者より購入をしています。

先述の理由により、使用は制限していきますが、象牙のナットをご希望の方は、国外持ち出し不可となることをご承知いただければと思います。持ち出すと小さな部品でもまず没収されることがあります。

また、象牙の在庫がない場合は対応できません。また、有償にはなりますが、交換用ナットを1つけることも可能です。

蛇足になりますが、象牙とマンモスの牙はよく似ていますが、横断面の菱形紋様の傾斜角度を見ると見分けられます。ただ、見分けをつけてもらえず没収されるケースも聞きますのでいずれを使用する場合も、国外に持ち出す場合は注意が必要になると思われます。