けっして目立たない部材ではありますが、弦楽器の歴史の中で、ライニング(伊: filetti)と呼ばれる上の写真に見える部品の発明は画期的なものでした。
これにより、かつて分厚かった横板を極限まで薄く削ることが可能となり、今に至る弦楽器の鳴りの良さに貢献したのです。
ライニングには様々な入れ方がありますが、今回は昔のクレモナ風の入れ方で作っています。
ライニングにも今回は柳を使っていますが、スプルースに比べて柔らかく曲げやすいのも特徴です。
ライニングも入れ終わり、いよいよ表板と裏板の準備にかかります。
今回選んだ裏板はバルカン半島のものではないのですが、クレモナで兄弟子から譲ってもらった亡き師の思い出深い一枚です。
一方、表板はピアノの響板作りでも知られたCiresa の製材所で10年以上前に見つけてきたイタリアン・スプルース(トウヒ)です。
木を触るだけでも今から、楽器の音色が聞こえてくるようで、作り進めるのが楽しみで仕方ありません。