ガット弦の半研磨法について

(写真はAquila社のHigh twist Gut HR(Demi-Rectified Oiled Strings)

 

ガット弦リポーターの髙倉です(笑)

今回もガット弦エキスパートのDanielaの動画を紹介します。

ガット弦の寿命をその製造法と音質に与える影響から見た説明をDanielaがしてくれています。

今回の説明は主に、ガット弦が製造される時に表面を研磨され、表面の凹凸を取り除き弾きやすく加工されることについてです。

製造される、撚られたガットはそのままでは凹凸があり過ぎて弾けません。

これを動画にあるように2つの円盤状の砥石の間を通して表面を研磨し、大き過ぎる凸を取って弾きやすい状態にします。

しかしこの研磨が曲者で、より弾きやすくしようと磨き過ぎると弊害しかありません。

研磨し過ぎた時の問題は、ガット繊維が場所によっては完全に切れてしまい強度を失ってしまうことです。これにより次のような弊害が出ます。

①音への影響

②弦が極度に不安定になりやすい

(磨かれ過ぎたガットの表面(研磨面)から湿気が非常に入り込みやすくなってしまう。)

③弦の寿命が比較的短くなりやすい

こうした問題を解決しようと、弦の表面を完全に覆ってしまうような塗装を施すメーカーもあるのですが、そうなるとほとんどナイロン弦を使うとの大差なくなってしまうため、まったくお勧めできません。

動画の冒頭で出てくる弦メーカーAquila社のガット弦HRというのはHalf Rectified(※メーカーサイトではDemi-Rectified)の意味で、弦の表面を完全ではなく半分だけ削ったものという意味です。

…ということを踏まえて、下記のリンクを見ていただくと理解しやすいかと思います。

(※ガット弦HRは、正確にはHigh twist Gut HR(Demi-Rectified Oiled Strings)

https://www.facebook.com/1872036046420082/videos/1877535739203446/