演奏家の方とっては、少し耳に痛いかもしれない話を、誤解を恐れずに書きます。耳に痛い話ではありますが、多くの場合、まさにその中にこそ打開策が隠されているのではと思います。
下のリンクは世界でもっとも有名な音楽学校の一つであるジュリアード音楽院について書かれているニューヨーク・タイムズの記事です。
ジュリアード音楽院は過去に多くの素晴らしい演奏家を輩出し、現在でも力量のある演奏家の登竜門となっていますが、その一方で高い学費を払って卒業しても、すべての演奏家が、旧来の演奏機会を提供してきた場所で受け入れてもらうことはできないということです。
新しいことではないかもしれませんが、このことが示すのは、現代の音大が整備された演奏家にとっては、過去の時代よりも、より明確な起業家精神が必要だということではないかと思います。
音大を卒業するということは、必要条件では仮にあったとしても、演奏活動を続けていく条件としては足らない可能性があるということです。
ビジネスの世界では日常的なことですが、音楽の世界では当然ですが、あまり学ぶことができないことであることは想像に難くありません。
ここにシンプルな解決案が一つあります。それは上に書いたように起業家精神を演奏家の自身が発揮することです。
より具体的には、私からお勧めできることとして、たとえばヴィオロンチェロチェロ・ダ・スパッラ(肩に掛けて弾く小型のチェロ)の演奏に取り組むというのはどうでしょうか。
すでに10年以上前にクイケンや寺神戸さんが使い始めたスパッラの再興の黎明期を経て、今、世界中でスパッラへの理解が深まりつつありますが、まだ演奏家はまったく足りません。
起業家精神を発揮し、まったく挑戦したことのなかった新しいことに取り組むということは、すべての演奏家にできることではないと思います。新しいことを受け入れるオープンなメンタルが必要でしょう。
ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラをキャリアに取り入れてみたい、起業家精神を発揮し新たなことに取り組みたいというヴァイオリニスト・ヴィオリストの方がおられたら、できる限り力になりたいと思います。