liuteriaとliutaio

liuteria (リューテリア)とliutaio (リュータイオ)という言葉は、一般の方には馴染みの薄い言葉だと思いますが、これらはイタリア語で、それぞれ弦楽器製作(職業)と弦楽器製作者を意味します。

ヴァイオリン製作者のこともliutaio(リュータイオ)と呼ぶのですが、初めて聞いた時はしっくりきませんでした。皆さんもそう思われるのではないでしょうか。

それもそのはずで、リュータイオのliut は、すなわちリュート(liuto)から来ていて、ヴァイオリンとは違いギターのように弦を弾く昔の撥弦楽器の一種が語源にあるからです。

では、なぜイタリアではヴァイオリン製作者までがリュータイオ(リュート製作者)と名乗るのでしょうか??

おそらくこれはもともとリュート製作者と呼ばれた人たちが非常に幅広い種類の楽器を作っていたからと思われます。

実際に世界で最も有名なリュータイオであるアントニオ・ストラディヴァリAntonio Stradivari もヴァイオリン、ヴィオラ、チェロだけでなく、ハープやギター、リュートの一種である昔のマンドリンなど様々な楽器を作っていたことで知られています。

話はそれますが、リュータイオという職業名は、実はイタリアでもあまり一般的ではありません。

私もイタリアにいた頃に「お前は何の仕事をしているんだ?」とイタリア人に訊かれては、「リュータイオです。」「リュータイオ?それは何だい?」「リュータイオというのは、かくかくしかじか…」という問答を何度となく繰り返したものです(笑)イタリアに留学した日本人製作家の多くは、イタリア国内でリュータイオという言葉を定着させるのに活躍していると思います。

先日、学生と話をしていて思い出したのでこの機会に記しておこうと思いました。