今晩は友人のイタリア人バイオリニストの方から、バロック仕様のネックなどについて尋ねられ、過去の調査で得た資料写真などをネットで送りながら説明をしました。
説明をしながら、調査で得られる一次情報の大切さを感じると同時に、根拠の薄い楽器の模倣製作をしないためには、やはりなるべく足を運び、自ら手にとって地道に確認することが大事だと改めて思いました。
昨年も、台湾に行ってバロック仕様の楽器調査をさせていただきましたが、一緒に行った学生達もうまくその経験を生かしてもらいたいと思います。
演奏家の方と話し、1600年代前半のネックは短く太くて、1700年代後半になると長く細くなると、向こうのコンセルヴァトワールなどでも教わると聞きましたが、それ自体がいささか単純化し過ぎていて根拠に乏しいのは言うまでもなく、演奏家自身も困っていました。製作家としても簡単な問題ではありませんが、いくつかの資料と意見を交換させていただきました。
しかし、いざ音楽が奏でられるときには楽器の歴史などは音楽そのものとは本質的にはあまり関わりはないところでもあるので、そのことを忘れることなく演奏家と技術者の協働でいかに音楽を楽しむ人を増やすかということがもっとしたいなと思いました。
なにしろ極論するば、一所懸命楽器を練習したり、音楽をしている時には、戦争など起きようもないのです。手を休めず演奏し続けたり、音楽のことばかり皆が考えるというのはどうでしょうか。争いが入り込む余地がないほどに、多くの人が生活の中で音楽を楽しめたらいいなと思いますし、音楽のないところには音楽が届けられたらいいなと思います。