ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ。
Violoncello da Spalla
ヴィオロンチェロはイタリア語で、英語で言うところの「チェロ」の意味、スパッラは「肩」の意味です。直訳すれば「肩のチェロ」となります。
現代最もよく目にされるチェロが脚に挟んで弾かれるのに対し、この小さなチェロは肩にかけて弾きます。そして、映像にもあるように、その大きさとは裏腹に無理の少ない姿勢で弾けるのです。
10年前、ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラ再発見の立役者の一人であるバディアロフさんとたまたま同じ職場で働く機会を得て、この小型のチェロにたちまち魅了されてしまいました。
音楽の父と呼ばれるJ.B.バッハが「チェロ」というものを考えた時に、この小型のチェロが念頭にあった可能性があるという点も魅力的でした。
また歴史的な検証は傍においておいたとしても(ヴィオロンチェロ・ダ・スパッラとして現存している楽器はあまりに少ないので、常に検証の難しさはあります)、その優しい響きを聴いて以来、必ずいつか自分でも作り、どなたかに弾いてもらいたいと思うようになりました。
バディアロフさんが日本を離れてからしばらく時間が空いてしまいましたが、今再び連絡を取り合えるようになり、毎日少しずつこのチェロが作れるようになったのは本当に幸せなことです。願わくば、この優しい響きのチェロを弾きたいと思う演奏家と巡り会えますように。