個性とは作るものではなく

今日は渋谷のコトさんで開催されたフランスの弓製作家Eric Grandchamp氏のセミナーに出席させていただきました。

(株)コトの壽社長はGrandchamp氏と40年来のお付き合いだとお聞きしました。製作家が若い頃からご関係を築かれていることはとても素敵なことだと思いました。

セミナーは弓製作の映像を、通訳の方が訳して伝えくださるという内容のもので、レクチャーの後で沢山の興味深い質問に丁寧に答えていただいたのですが、その中で特に1つ心に残ったお話があったので、記しておこうと思います。

セミナーの参加者の1人が、どのようにしてグランシャン・ヘッドと呼ばれる独特のスタイルを生み出したのかということを尋ねた時に、Grandchamp氏は、なんとなく出てきたんだよと答えていました。その後で、個性とは「トルテのこの部分、ペカットのこの部分、ヴォワランのこの部分(いずれの名前も昔の弓製作名人)をとったりするようにして、どこからか着想を得ようとした個性を「作る」ことはできないし、うまくいかないものだ」とお話されていました。むしろ個性とは「出てくるものだ」と。

これは弦楽器製作においてもまったく同じことですが、言われてみると、改めて腑に落ちるものがありました。