モダン楽器をバロックに

近年、お手元にあるモダン仕様の楽器を、バロック仕様にして楽しんでみたいというご要望を多くいただいております。

こちらのページではそのために必要なポイントや費用について説明させていただいております。

(以下、ポイントにしぼって説明をさせていただきますが、それでも長文になりますので、読むのが大変!という方はぜひ直接工房にご連絡ください♪)

モダン楽器へのセットアップ例

さて、モダン仕様で作られた楽器は、バロック仕様に比べて木材をより多く削って作られているため(特にネックなど)、修理によってモダンからバロックに改造することは基本的にできません。技術的にできないわけではないのですが、きちんとしようとすると新しい楽器を買った方がよいぐらいの改修費用がかかってしまうものです。

もしもそれ以下で安価にモダンからバロックに修理ができるという話があるとすると、それはほとんど間違いなく本来のバロック仕様ではなく、中途半端なものになってしまい、元々の楽器の価値も損ねてしまう可能性もあるため注意が必要です。当工房で基本的にお勧めしておりません。

代わりに、本格的なバロック仕様の楽器を手に入れる手前のステップとして、モダンの楽器を大きく改造することなく、セッティングの変更でバロックに近づけて楽しんでいただくことをお勧めてしております。

これにより、将来またバロックからモダンに楽器を戻したいと思ったときにもそれが可能となり、また楽器を改造によって極端に傷めることを避けられます。

具体的には、主に弦、駒、魂柱、テールピース(およびテールガット)、を交換することで、できるかぎりバロックの仕様に近づけて、レッスンなどにも対応するという内容です。(※サドル、指板も楽器の状態によっては交換、調整できます)

弦以外のすべてのパーツを交換した場合(※指板を除く)の費用は、ヴァイオリンの場合でおおよそ6~9万円、ヴィオラでは7〜12万円、チェロで15〜23万円ぐらいを目安にお考えいただければと思います。

楽器をすぐに買うよりも手頃な費用で、まずはバロックの感触がどのようなものか、つかむことを目的とした内容です。

その後、さらに本格的な楽器を探すもよし、そのままその楽器で楽しんでいただくこともある程度までは可能と考えております。

また、上記費用にはモダンとして使用されていた時の、顎当てなどによるニス損傷の部分的回復なども含まれます。

個々のパーツは次のようなものに交換されます。

(※詳細は近日公開予定)

弦はバロックの奏法や響きに挑戦してみたい!と思われる方が一番最初に交換できるパーツです。予算もない!という場合は、ひとまず弦と弓だけ交換してレッスンに通うのもありだと当工房では考えております。

では、どんな弦がよいかということですが、これはレッスンを受ける先生に相談をされるのがいちばんです。先生に相談をすればほとんど解決すると思いますが、それでも何か困ったことがある場合は、お声がけください。

残り部数は少ないですが、当工房が配布のお手伝いをしている『ガット弦の変遷』もご参考になるかもしれません。→書籍販売のページへ

(弦メーカーについては、あまりに長くなってしまうので、いずれ別にページを設けてご紹介することができればと思います。)

左が比較的多いバロックのデザイン、右がモダン

駒もまた、バロックの表現をする上でとても重要なパーツですが、お手元の楽器の仕様によって、上の写真左側のような市販の半加工品の駒に手を入れた駒が使える場合があります。

半加工品の駒が使える場合のメリットは、何より費用が抑えられることです。

楽器によっては半加工の市販品が合わない場合があり、その場合工房で一からデザインして切り出すので、倍ぐらいの費用がどうしてもかかってしまいます。上に提示した全体の費用にだいぶ幅があるのはそうした理由もあります。ただ、一から切り出すことで、市販の駒にはないデザインを選んだり、オリジナルのデザインに挑戦できるのもバロックならではの楽しみです。

さて、駒において重要なのは、振動の仕方を決めるデザインもさることながら、運弓に大きな影響を与える駒上端のカーブの形状です。このカーブの形状は指板とも相関関係があるのですが、モダンからバロックに切り替えてすぐはほとんどモダンに近い形状でもよいと思います。

その後、レッスンに通って慣れてきたら、徐々にカーブを緩やかにして、バロックならではの装飾音や運弓に対応しやすい形に変えていけばよいと思います。

バロック初心者から、慣れてきた玄人向けのカーブまで当工房では段階的に対応させていただいております。

テールピース

テールピースはモダンのヴァイオリン・ヴィオラ・チェロにおいては、専門メーカーの作った市販品を使うのが一般的となっています。

そのため、ある程度決まった長さ、形となるのですが、バロックの場合は、楽器のサイズから割り出して一個一個を手作りします。モダンの楽器のサイズがほとんど企画化されていることを踏まえれば、さほど多くのバリエーションは必要ないかもしれませんが、基本的には毎回楽器に合わせて作られるものです。

魂柱

魂柱は、…一から説明すると長くなってしまいますが、ひとまずは、もともと入っていた魂柱に問題がなければそれをそのまま使っていただいても大丈夫です。

しかしこれについては、楽器個々の状態を見てから判断するのがよいと思います。

サドル

サドルもまた形状の異なるパーツですが、楽器の状態のよってはモダンのものをそのままお使いいただけます。

また、場合によっては高さをなくして右の写真のように比較的フラットにすることができますが、これも個々の楽器を見て判断した方がよいと思います。

顎当てを外す〜ニス補修

モダン仕様のヴァイオリン・ヴィオラをバロックに変える場合に、顎当ての跡が残ってしまうことがほとんどです。そのため、顎当てを外した後は、その部分の補修が必要になるケースがほとんどです。

エンドピン

ヴァイオリン・ヴィオラにおいては、通常はそのままで問題ありません。

チェロだけは、工夫が必要ですが、これについてはいずれまた改めてページを作ることができればと思います。

補足〜弓について

弓は、弦と並んで最も重要なものの一つです。

また弓についてはまずはレッスンを受ける先生に相談をされることがよいと思います。

バロックの弓は、モダンの弓に比べて構造がよりシンプルで値段も手頃なため、何本か種類の違うものを持っておくのも楽しいと思います。

当工房も、チェロや肩掛けチェロの弓は一部製作提供しておりますので、ご相談ください。ヴァイオリン、ヴィオラについては、専門工房を基本的には紹介させていただいております。

指板について

(※近日更新いたします)